神奈川の判例
11歳程度の知能となる後遺障害が残存した21歳女子
21歳女子高卒アルバイトの原告は
平成16年12月19日午前11時10分頃、
神奈川県藤沢市内の道路を走行横断中
被告運転の自動2輪車に衝突され急性硬膜下血腫等で600日間の休業をし、
75日入院して7級4号高次脳機能障害、12級15号醜状障害の併合6級とされたが
視野狭窄もあるとして既払金を控除して8,322マン9,213円、母親220万円を求めて訴えを提起した。
裁判所は併合6級後遺障害の近親者に固有慰謝料100万円、介護料日額2,000円等を認め
7級高次脳機能障害の拡大に「もやもや病」が影響したと2割の素因減額を適用した。
原告は急性硬膜下血腫手術の際「右側頭葉の切除を行ったため
高次脳機能障害の後遺障害が残存した」が、「原告には『もやもや病』が既往にあり」
原告の「後遺障害拡大に影響を与えた」ので「素因減額の割合は2割」と認定した。
原告の入院中の75日分は入院付添費を日額6,500円、症状固定までの525日の通院期間中は実通院日の60日分の付添費を日額3,300円
症状固定後は「小学生(11歳)程度の知能しか有さない」等から「平均余命までの63日間」「介護費用は日額2,000円とする」と認定した。
21歳女子高卒アルバイトであった原告の併合6級後遺障害逸失利益はセンサス女子高卒全年齢平均を基礎に67%喪失「労働能力喪失期間63年(症状固定時23歳から平均余命85.49歳まで)に対応する
ライプニッツ係数19.0751であるから逸失利益は296万1,500円×0.67×19.751=3,784万8,908円と認められる」と認定した。
原告の併合6級後遺障害慰謝料は被告は反抗的で「原告代理人にも攻撃的で」あり、被害者の生活は一変も「加害者が何らかわらない生活を送っている」等は「慰謝料の増額事由に該当する」と1,210万円を認めた。
「日常の家事など一切を行えず」「将来にわたって扶養していく必要が生じた」母親にとって原告の後遺障害は「死亡にも比肩しうる」と母親固有慰謝料を100万円認めた。
<自保ジャーナル通巻1832号35頁>