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②作業療法士(OT)さんとのリハビリ(高次脳機能障害の検査)

①心理検査(知能、記憶、注意についての検査)
②作業療法士(OT)による検査
③言語聴覚士(ST)による検査

(2)②作業療法士(OT)による検査

作業療法士は、医療現場において、食事、料理、炊事、読書などの生活活動などの「作業」を通し、社会復帰の為の訓練をさせて、日常生活をスムーズに送るための複合的な動作が可能となるようリハビリを行っていきます。

訓練の前提として、
ⅰ 高次脳機能の検査(注意力、遂行機能、記憶、構成、計算)
ⅱ 作業性検査
ⅲ ADL(移動、食事、排泄、入浴等の日常生活活動)、APDL検査
といった各種検査が実施され、「作業療法評価報告」といった書面に報告内容がまとめられるのが通常です。

ア 高次脳機能の検査

  • 高次脳機能の検査~注意力について
    高次脳機能の検査では、注意力を測るテストとして、  

    ① 順唱(検査者が述べる数字を被検査者が同じ順に数字を言うテスト)
    ② 逆唱(検査者が述べる数字を被検査者が逆順に言うテスト)
    ③ VALPER6

    といった検査が実施されることがあります。
    正常人の平均値は、①順唱で7桁、②逆唱で5桁とされています。
    例えば、①順唱で4桁、②逆唱で1桁しか言うことが出来ず、検査結果がどちらも平均値を大幅に下回っていれば、注意力の低下が示唆されると考えていくのです。

  • 高次脳機能の検査~遂行機能について
    ③VALPER6とは、特定のワークサンプルを行う正確性や作業速度を測ることで被験者が有する能力を測るワークサンプル法の一つです。  

    VALPER6のワークサンプルテストによって、視覚による比較及び多くの抽象的な数字や色付けされた図形を正しく選択することを要求される仕事を遂行するための能力を測ることができるのです。

    作業速度100%が標準値で、87.5%から112.5%の間が標準域と評価されます(時間換算では12分32秒から16分06秒が標準域)が、最大許容エラーは3個までであり、それを超えるエラーがあれば、遂行能力に障害があると評価されるのです。

  • 高次脳機能の検査~記憶について作業療法士は、記憶力のうち視覚性記憶力を測るテストとして視覚性記憶テストを実施して、聴覚性記憶力を測るテストとして「関連対語」テストを実施することがあります。関連対語テストとは、検査者が被検査者に対して2つの言葉の組み合わせ4ペアを述べて被検査者に覚えてもらい、その後、片方の言葉を述べてそのペアとなる言葉を想起してもらうテストをいいます。

    このテストにより聴覚による記憶力を測ることができるのです。

    「聴覚」による記憶が低下していても、他方で「視覚」による記憶の機能が完全に損なわれていないのであれば、視覚による記憶を活かすことを意識して日常生活を行えるように訓練していけばよいと思われます。

  • 高次脳機能~構成について
    作業療法士は、構成描画テストと、再生描写テストを実施することがあります。  

    再生描写テストとは、検者が被験者に見本となる図を見せ、被験者はその見本の図をみならが白紙にその図を描写するテストをいいます。

    このテストによって、構成能力を測定することができるのです。正常人では、すべての図において的確に再生されます。

  • 高次脳機能~計算について
    計算は、暗算(簡単なもの、複雑なもの)、筆算などのテストにより計算をする能力を図るのです。  

    結構な脳損傷を負った人でも計算能力は落ちていないという人を見たことがあります。

    「この人、損傷されていない計算能力を活かして、仕事を探せないものかな?」と本当に思いました。

イ 作業性の検査

箱作りテストとは、被検査者が検査者と協力しながら箱を製作し製作後にその製作を振り返るという一連の作業を通して対象者の作業遂行能力、対人機能などを評価する作業面接テストを言います。  

具体的には、検査内容の説明をして、見本を被験者に見せ、展開図作成、裁断仮組立、接着仕上げを行い、底面は10cm×10cm高さは5cmなどの箱を製作するのです。

ウ ADL、APDL動作テスト

  • ADL(Activities of Daily Living:日常生活活動)ADL(Activities of Daily Living:日常生活活動)とは、一人の人間が独立して生活するために行う基本的な、しかも各人ともに共通に毎日繰り返される一連の身体動作を正常に行うことができるかを検査するテストです。具体的には、食事、更衣、移動、排泄、整容や入浴等が正常に行うことができるかを調査するものです。

    高次脳機能障害事案では、自賠責保険に後遺障害等級認定申請をする際、「日常生活状況報告書」という定型の書式にご家族が日常生活状況を記入する必要が生じてきます。記入例として、

    食事について、
    「食べこぼしが多くなったり、食事をしたにもかかわらず、食事をしたことを忘れてしまい、又は、具体的に何を食べたかは自身で思い出すことができない。そのため、食事をしたにもかかわらず、さらに食事をしてしまう生活を繰り返している。そのため、日常生活で正常な食生活を送ることが困難となってしまっている」
    などと書いたりすれば良いのです。

    更衣についても、
    「服の表裏に気が付かないことがある。又は、靴を左右違う物を履いて外出したこともある。適切に更衣を行うことは非常に困難となった」
    といった状況を報告するのです。

    例えば、入浴については、
    「指摘されるまでリンスをしたことを忘れ流さずに風呂からでることがあった。また、入浴したか否かを覚えておらず入浴を促されなければ入浴しないこともあった。このように、入浴の事実及び入浴中の行為について思い出すことができず、日常生活で正常な入浴を行うことが困難となっている。」といった記載の仕方をすればよいのです。

  • APDL(Activities parallel to Daily Living:生活関連動作)
    APDL(Activities parallel to Daily Living:生活関連動作)テストとは、ADL(日常生活活動)以外の応用動作を正常に行うことができるかを検査するテストです。  

    具体的には、食事の支度、家事、金銭管理、交通手段の利用、服薬管理や買い物等を正常に行うことができるかを検査するのです。

    日常生活状況報告として、
    「炊事・洗濯などのほとんどの家事動作をすることができず、家事動作のほとんどは同居人が行っている。」
    「外出することが困難となり、ほとんど外出しなくなった。」
    「コンビニに買い物に行ったとしても、出掛けるときに3回に1回は携帯や財布を忘れてしまう。」
    といった報告がなされていることもあります。

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